現在の自動車には、必ずといっていいほど、クリヤー塗装が施されております。

クリヤー塗装とは、その名前の通り透明な塗料を言います。

クリヤーにはいろいろな種類がありますが、

我々板金塗装業者が使用しているクリヤーは基本的に2液型ウレタンクリヤー

というものです。

2液型とは、硬化剤（塗料を固める溶剤）、主剤（クリヤー）を混ぜて、

使用するものになります。

ここまではご存じの方も多いかと思いますが、ここからは専門的な話です。

我々業界の職人さん同士であるあるの会話、

『お宅はクリヤー、何対何つかってるんですか？』

意味わかる方は少ないと思います。

これは、クリヤーと、硬化剤の比率なんです。

硬化剤の比率が高いクリヤーほど、高価ですが品質もいいものになります。

逆に硬化剤の比率が低いクリヤーほど、安価ですが、品質は下がります。

では、クリヤーの品質とは何か？というと、

・艶がいい（艶引けがない）

・経年劣化が少ない

・傷がつきにくい

などがあげられます。

私がいままで使用したクリヤーのなかで一番いいものが

クリヤー2に対し、硬化剤1、俗にいう2対1のクリヤーです。

このクリヤーは、硬化すると、とても固くなります。

いいクリヤーは、硬いです。

塗装職人の腕がいい人はこのクリヤーを使いこなせます。

まず、塗装で肌をきちんと整えられることが重要です。

塗装中のごみ、佛があまりつかない環境で塗装することが重要です。

（きちんとメンテナンスをしているブースで使用することが基本です）

ごみ、佛がたくさんついてしまう環境でこのクリヤーを使用しますと、

塗装後の磨き作業で大変な苦労をすることになります。

塗装後のごみ等は、耐水1500番、2000番等のペーパーで除去して

コンパウンドで磨きをかけるのですが、クリヤーが固いため、

ごみを除去したときについたペーパー目がなかなか消えません。

よって、

この2対1のクリヤーは塗装中に付くごみが1パネル5個前後で済む環境で、

肌を整えられる職人が使用するクリヤーとなります。

何が言いたいのか、と申しますと、

修理を依頼する板金塗装工場の選定基準の一つになるのです。

『この工場はクリヤーは何対何をつかってますか？』

と質問してみるのです。

『当店は2対1を使用してます』

と回答があれば、その工場の塗装レベルはかなり高いと考えていいです。

当然ですが、塗装費用も高額です。

以前勤めていた工場では、フェラーリやランボルギーニ、ポルシェ等に使用してました。

こんなことを書いてますが、当店は2対1は使用してません。

ま、ある意味ランボルギーニやフェラーリは当店にはご入庫しませんので・・・

一般的に多く使用されているタイプが、3対1クリヤーになります。

このクリヤーは硬さもありますし、艶もいいです。ある程度こだわりのある塗装職人

は大体このあたりを使用してると思います。BMWや、ベンツ、アウディ等も、

十分対応できるクリヤーです。

このあたりのクリヤーで修理したお車が、数年後別件の修理で再入庫したときなど、

必ずといっていいほど、前回塗装したパネルをチェックします。

・艶は引けてないか？

・肌は保たれてるか？

ま、上記2点で明らかに劣ってるという状況ですと、当店で再度修理を考えないとは

思いますが。

まず、合格点を上げれます。

ちなみに、当店は3対1のクリヤーを3種類使い分けております。

高級車、外車＝外国製3対1クリヤー

国産車＝国産メーカー3対1クリヤー

オールペイント＝国産メーカー3対1クリヤー（焼き付けタイプ）

たまにご依頼のある商業車両の補修などは、4対1クリヤーを使用したりしてます。

ほかには、4対1、5対1、というものもあります。

10対1というものもあります。

昔は10対1のクリヤーもたまに当店で使用していたのですが、

納車後の劣化（艶引け、肌持ちの悪さ）が気になり、使用するのをやめました。

勝手な想像ですが、外車や高級車がそれなりに入庫する工場は

最低で3対1のクリヤーを使用していると思います。（曲がり曲がって4対1）

逆にそういうお車に

10対1のクリヤーを使用している工場は、経費を抑えることにベクトルを

向けすぎですし、仕上がりに対するこだわりは感じません。

あくまで私個人の主観です。

他の板金塗装工場の塗装職人さんが、このブログを見て、うなずけば幸いかな。

国産車